追悼の言葉
高知大学学長 立川 涼
カリム君、明るくのびやかだった君に、このような場でお別れの挨拶をするのは
何ともつらく、残念なことです。残されたご家族の方にとっては誠に痛恨のことと
存じます。心からお悔やみ申し上げます。
カリム君は、高知大学大学院理学研究科で情報科学を専攻し、優秀な成績を
挙げており、来春の修士課程修了後は、博士課程への進学も予定されていました。
情報科学の専門家として大成し、母国での大いなる貢献が期待された人物でした。
情報科学の分野では、学業だけでなく、インターネットの専門家として、
幅広い活躍をしており、高知大学のホームページを立ち上げたのも彼でした。
カリム君が中心になって作った高知高専のホームページは文部省の主催する
国立大学等優秀広報誌コンクールホームページの部で最優秀賞を受賞しています。
カリム君は情報科学の勉強をしながら、学内と地域で実に多彩な活躍をして
きました。彼の人柄は多くの人に愛され、好感をもって迎えられ、また多くの
人々や団体にも彼は支えられてきました。ご支援いただいた方々や団体にも
それぞれこの場をお借りしてお礼を申し上げるべきですが、ここでは二年間に
わたって米山奨学金をお世話していただいた高知ロータリークラブを挙げる
だけでお許しをいただきたいと存じます。
私事ですが、カリム君が帰国したら、彼の案内でカリフォルニア湾のクジラを見に
行く約束をしていたのですが、これもかなわぬ夢となってしまいました。
カリム君を失ったことは、ご遺族の方々にとってたえがたい悲しみでありましょう。
私どもおなぐさめする言葉もありません。それでも、カリム君が、日本と
高知の人々に愛され、また高知大学における最も優秀な学生の一人であった
ことは、ご遺族にとってささやかなお慰めになることと信じます。
改めて心からのお悔やみを申し上げます。
1999年6月25日
|